攻めF二種スモロ - 1/2

痛いと言ったらどの口がと詰られた。額の縫い傷を狙った足は大きな手のひらで掴まれ、踵の骨を砕かれそうなほど。
「もう出たって言ってんだろ」
滲む視界を隠すのも腹立たしく、自分を取り押さえる男をそのまま睨む。口ばかり負けじと強がるその姿勢は男を逆上させるだけなのだと、何度も言われてはいるが、じゃあどんな顔をすればいいというのか。
「まだ出るだろ」
そのまま足首を大きく上に広げられると力を失くしたペニスもまだ乾かない蟻の戸渡りも、その先の窄まりも丸見えになる。さんざ舐られて一度精液を吐き出した頭はそれでも離さず啜り続けられたせいで赤くなっていた。
「出ねぇよ!離せもう食うな」
「人聞き悪ぃな、食うわけあるか」
「ほとんど食ってるだろ、やめろっつってんだ、このすけべ」
言う間にも振りほどこうと足を蹴り上げるがもう片方まで足首を捕まえられてしまう。膝を折られ、股座に寄せられる厚かましい顔を両手で阻めば煙で対抗された。
「大丈夫だまだ一回だろ、出る」
口論の間に少しだけ休んだとはいえ達したばかりのものを舐めまわされるのは辛い。それなのに、あっとこぼれた声は明らかに濡れている。
「や、ぁあっ、やめ、やめろむりっ、ひっ」
でかいくせ、括れを挟んでちゅるちゅると出し入れする上唇と舌が無駄に器用でむかむかする。だがそれをぶつける術がない。煙を使うなど反則だ。減らず口は喘ぎ声に変わる。敏感なところをしつこく撫でくり回されて。
唾液をまぶされ何度も扱かれると腹の奥でじわりとダメな感じが膨らみ始める。中を暴かれるときに執拗に押し込まれる前立腺の、内側。
「だめって、言っ、あっあう、言ってんだろ、やめろ出るっ」
「ほら出るんじゃねぇか」
そうじゃない。そうじゃないのに確かに出そうで、諦め悪く足に力を込めるがびくともしない。違うもんが出るんだよ馬鹿やろう。追い詰められるその先で何が決壊するかは見えていて、だからこそ避けたいのに。
スモーカーはおよそ正義の味方、海軍将校に似つかわしくない悪辣な顔をして、トドメとばかりに、怯える陰茎をぱくりと含んだ。
「んあぁっ、あ、でる、くそっ、おま、おまえが出させんだ、からなっ、や、ぅんん、ちくしょっ、溢すんじゃねぇぞっ」
大きな口を全部使って亀頭から根本までじゅるじゅると擦られ、上下に跳ねる腰を止められない。突き上げるのに合わせてぐんぐんせり上がってくる衝動を、飲み込む仕草でぐにぐに動く喉奥に向かってぶちまけた。
「っあぁあ――――っ」
さっき出したものとは粘度の異なる、さらりとした体液が、さっきより勢いよくスモーカーの口内を濡らす。ビールでも飲むようにごくごくと喉を鳴らしながら、その動きでさらに雁首まで揉むようにする男は一滴もこぼさない。ローは何度もスラングを吐いて、溶けてしまいそうな腰を断続的に振った。
何も出なくなってようやく、搾り取るように吸い上げてからスモーカーは口を離した。ローは視界のあちこちで散る白い火花に頭を振り、浅い呼吸で狼藉者を睨む。
「出たじゃねぇか」
そう言って男が今度は上の口に寄ってきたものだから、ローは唯一動く首を思い切り白髪の落ちた額に打ち付けてやった。
「゛い゛っ……!」
煙の仕返しに覇気を込めてやったそれは自分の頭も痛めたが、的確にダメージを与えたようで、ぶつけられたところを押さえたスモーカーがシーツに沈む。
「ざまっ、みろ変態……!」
手足を取り返したローが右手の中指を立てる。しばらく唸っていた将校は紅目を怒りで燃やして起き上がり、再びローの足首を握った。
「いい度胸してるじゃねぇか、ロー。その調子なら、おかわりだな」
歪んだ口元が本気の時の形になっていて、思わずローは股間を両手で覆ったがそんなものは。次はてめぇに飲ませてやる、と舌なめずりした男は、もうヒトの形をしていなかった。

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