狼狽さんの「兄さん。大好き。」に寄せて
腹を埋めていたものが弾けて思い切り中に子種が注がれる、まさにそのタイミングで弟は帰宅した。
部屋のど真ん中、全裸で抱き合って絶頂する知らない男と俺。真夏の真昼間、窓から差す怒ったような太陽光線に照らされて、隠せるものなど何ひとつなく、すべてが弟の視界におさまる。
「――――っ」
現場に踏み込まれた驚きで達した自分のものから体液が飛び散る。全部見られていると思うと長く出続けて止まらなかった。
弟はカバンも置かずに仁王立ちでそれをずっと見て、外を歩いてきたままの汗を止めることなく流し続けた。
つう、と汗でない赤い色が弟の鼻から垂れる。
さっきまで中で踊り狂っていたものはすっかりしょんぼりして抜くにも抜けなくなってしまっている。死んだことがまだないからわからないけど、俺は死後硬直みたいに体が動かなくなって、尻の肉が萎んだ下品なものをつかんだままだ。
誰も微動だにできない、無駄に自然光の明るい部屋の中で、それでも最初に動いたのは弟だった。
汗と混ざって垂れる血を拭いもせず、まれにみる笑顔になって、聞いたことのないようなテンションの高い声で浴びせられたものは。
「兄さん。大好き。」
どのくらい硬直するのか知るために、一回死んでみたくなった。
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