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「何回お預け食らえばいいんだよ。」
思わずこぼしてしまってから後悔した。今日はここまで、おしまい、と離れていった穏やかな双眸がすっと細くなったからだ。
「お預け?なにがお預けって?」
一度ベッドから立ち上がった体が戻ってくる。さっきまでそうでもなかったのに一瞬で尖った空気をまとった弟に怯んで後ずさってしまう。
「兄さんこの間言ったよね。毎晩俺の相手するのしんどいって。」
言った。確かに言った。残念なことに覚えている。4日くらい連続でほとんど意識を失う手前まで抱き潰されて、こんなのが毎日続いたら人間生活に支障をきたすと息も絶え絶えに訴えたのだった。
「だから最後までしないようにしてたんだけど。」
知っている。あれから4日、最初は乳首をいじるだけ、翌日はめちゃくちゃキスして裸でハグしただけ、昨日はまた乳首だけ、そして今日は尻の穴を指で解されておしまいだ。
「優しく…してくれるのはいいんだけど…」
「うん」
細くなった目が怖い。
たまには最後までしてほしい。指3本入るまで広げられてしまった後ろの口が何か言いたそうにぱっくん、と勝手に動いた。
見つめてくる顔に圧倒されて口に出せないでいると、大きなため息をつかれてしまった。
「だいたい、お預けされてるのは俺の方じゃない?」
「えっ」
「もう4日も我慢してる。」
そうか、我慢してくれてたのか。本当はしたいのに。
不遜な顔が少しだけ可愛く見えて、両手で頬を挟んでキスをした、と思ったのに、口がつく前に後ろの髪を力任せにつかまれて離された。
「えっ」
痛みに一瞬目を閉じて、次に開けたら眼前に凶器みたいな弟のもの。
「どうせならこっちにしてくれる。」
まだ閉じた唇の合わせ目に、熱くて弾力のある頭の真ん中で薄ら笑いを浮かべる鈴口がつけられた。
目線だけ上にやれば、いやな笑いを浮かべた弟が両手を俺の頭の後ろに添えるのが見える。
ああ、やってしまった。口は災いの元。後始末も口でしろということか。
恐る恐る口を開けると後ろから押されて、一気に喉の奥まで猛りを迎え入れた。
いきなり口蓋を擦り上げられる。喉元をきゅうと締めると連動して後孔が奥まで締まって、背中を期待が走り抜けた。
「ふっ……んん」
下を埋めてもらえないかわりに奥歯のさらに奥から唾液がこぷこぷ溢れてきて、夢中になってべろで陰茎になすりつける。ゲロを吐きそうになるギリギリのところをごつごつ突かれると喉が痺れて性器みたいに気持ちよくて涙がこぼれた。
「俺もお預けがんばってるから、兄さんもがんばろうね。」
押し付ける力強さと反対に優しく髪を梳かれて、目線だけで頷いた。きっと今日も与えてもらえない尻穴が不満そうにまたぱくりと開いて、閉じた。
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