7/7―以前書いたコスモな弟宇続きのようなもの。―
目が覚めると腕の中に抱きこまれていた。
視界に広がる透き通るような白い肌の真ん中に、ピンク色の丸い突起。引き寄せられるように口を付けて吸うと、眠っている目蓋がぴくりと揺れた。違う性別を備えていたならここから赤ん坊を育てるための乳が出るらしい。ふっくらしたまわりの肉の感じからして、出てもおかしくなさそうだけど、どうやら出ないらしい。
唇でちゅうちゅう吸って舐める。この身体はどこも甘い味がする。
この人と出会ってから、俺は元の星に帰らなくていいと言われ、それから2人で外の見えない部屋に入れられている。生まれたときから選択肢なんかない人生だった俺は気にならないけど、この人を狭い箱の中に閉じ込めてしまうのはちょっとだけもったいなかった。あの時目にうつった銀河がほんとに綺麗だったから。
言葉が通じなくて名前はわからなかったから、俺はこの人を兄さんて呼ぶことにした。なぜだかそれはとてもしっくりきた。
一心不乱に片方を吸って、もう一個ついている同じものを指で優しく撫でていると小さな声がして目を覚ました。突起を咥えたまま見上げるとすでに小さく目尻に涙が溜まっていた。
すぐに身体を起こして仰向けにした上からのぞきこむ。長い銀のまつげが不安げに揺れている。
最初に2人で抱き合ったとき、兄さんはずっと幸せそうに笑っていた。それがだんだん、頬を赤く染めて困ったような顔をするようになってしまった。理由を聞きたいのに言葉がわからない。仕方ないから全身をくまなく観察する。体温や呼吸から読み取るしかないからだ。しっとり汗ばんだ首、ぷくり膨れた突起の胸、時々ひくりとへこむ臍、その下に、持ち上がりかけているもの。嫌がっているわけではなさそうだと、答え合わせしようと思ったら、目はふいとそらされてしまった。
片方の足を持ち上げて間に肩を入れる。出っ張っている性器を口に入れようとしたら、さらにつながった先の、つい何時間か前に自分のものをおさめていた穴から白い液体がこぷりと溢れた。お腹のあたりがむずむずし始める。ごまかすように兄さんのものを口に含むと先から甘い汁が滲んだ。じゅるりと吸い上げて、下の方まで喉の奥に招くと上から声が降ってきた。
「あっ…あ、あ、あぅ」
涙を流しながら首を左右に振っている。胸のあたりがぎゅっとなって、つられるように喉を締めて舌の広いところでゆったり舐めた。口の中で兄さんの棒がぷるぷる震えて可愛い。
力が入ったからか穴からまた粘液が漏れだす。もったいないように見えて指で絡みとって中に押し込むと穴全体がびくりと跳ねた。身体の一部だけがこんなにも細かく動くものかと興味深くて、中の体液を壁になすると腰の骨のあたりからがくがくと前後に揺れた。
口の中のものはめいっぱい膨れていて、普通ならそのくらいになるとこの穴を満たしているのと同じものがそろそろ飛び出すはずなのだが、腰が跳ね上がるだけで出せないようだ。少し奥にある、兄さんが一際声を出す膨らみを押したら出せるかと思って、そこを狙って指を曲げる。吸った息を吐き出せなくなった兄さんがひきつって、穴が吸い上げるようにぎゅんと締まって、でも喉の奥にじわりと熱いものが少し出ただけだった。
辛くないのか心配になって口を離す。兄さんはぽろぽろと泣きながら必死に息を吐いていて、この姿を目にするとどうにももっと酷いことをしたくなってしまって仕方なかった。
顔をよく見るために起こして膝の上に乗せる。真下から顔を捕まえると、丸い涙の粒が頬の上に落ちてきた。自分の股座のものが上を向いていて、ちょうど兄さんの穴がそこにきたから顔を見たままゆっくり埋める。
「……っ」
目をつむって受け入れるかわりに口が開いて舌がのぞいたから、自分の口をひっつけて塞いだ。熱い息が口内を満たして、性器も同じ温度で包まれる。ここに降り立ったとき禁止されていた生殖行為がなんで許されることになったのか、なんの説明も受けていないけど、毎日でもこの体温を感じられるなら何でもよかった。
一番下まで沈めて、奥をくるくるとまわすようにすると、どこかの角度でぐいと引き上げられるところがあって、そこばかり細かくつつくと兄さんはまた首を左右に振った。安心してもらおうと思って背中をゆっくりさする。少し力が抜けて、息を吐いたときにそこに向かってぐりと腰を押し付けた。ごぽん、と変な音がして先っぽがはまる。これがものすごく気持ちいいことは最近知った。兄さんは目も口も大きく開いて、涎をたらしながら動物みたいな声を出した。上気した顔も、すがってくる腕も、気持ちいいのだろうとは思うけど、でもやっぱり性器の先はとろとろと蜜をこぼすばかりですっきりできていなさそうで。ここからちゃんと出せたらすっきりできるのに、と思って頭の部分を手でくるくると撫でた。
「ひっ…んんああっ」
大きくのけぞってうしろに倒れそうになりながら、兄さんが先っぽから水分を吐き出す。やっと出せたかなと嬉しくなって、奥を一段と突き上げながら首みたいにへこんだところに指を巻き付けて上下に動かした。兄さんがなにか言いかけたけどやっぱり言葉がわからなくて、何度も噴きあげてぐったりするまで続けてしまった。
そうしてまた泥のように抱き合って沈む。寝顔はとても静かできれいで満足感で胸がいっぱいになったけど、兄さんは初めて会った日より少し顔が細くなっていて、何日もこのまま同じことをすると消えてなくなってしまうのかもしれないと急に不安になった。
次に目が覚めたらもっとよく観察して、わからない言葉をわからないなりに穏やかに聞いて、それから外に散歩に行かせてもらえるようここの人に言ってみようと思って、また腕の中に潜り込んで眠った。夢の中で兄さんの目に、銀河がうつりこんでいるのが見えた。
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