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帰宅後まだ汗のひかない弟の首元。ネクタイをゆるめてボタンを3つ目まで開けたところでそのままにされているそこは、うっすら湿った肌色の鎖骨が呼吸に合わせてゆるやかに上下している。胸筋に向かうなだらかな盛り上がりがうっすら光っていて艶かしい。
飯も風呂もまだなのにソファの上で馬乗りになった俺に呆れた顔を向ける弟の口を塞ぐ。最初からあきらめているのかまったく力の入っていない唇はすぐに開いて、舌を入れて絡ませると引き込まれて吸われた。
悪いとは思ってる。
だけどそんな気分の日だってあるだろ。
重力に従って流れ込んでいく唾液を遠慮なく飲ませながら弟のベルトを開ける。するりと手をすべらせるがまったく兆しておらず、下半身は通常モードだ。
「たってねぇ。」
「疲れてるから無理って言った。」
「疲れてるったってお前。」
「それたたせるの相当時間かかると思うよ。」
それではダメだ、俺はすぐしたいのだ今日は。
困ったなというのがあからさまに表情に出ていたようで、少しだけ口角を上げた弟が言った。
「いいもの見せてくれたら、たつかも。」
こういう挑発をしてくる時は、いくらかでも期待していい時だ。本当の本当に無理な日はこんなことすら言ってくれない。
「じゃー見せてやるよ。」
一度下りてボトムと下着を取り去り、もう一度跨がって、弟の両脇あたりに膝をついた。顔の真上にゆるくたちあがったものがそびえる。それ越しに目が合うと、とても悪いことをしているような気になって屹立が震えた。
ゆっくり自分の手で包む。
すでに熱い。どくり、どくりと脈打つのを感じながら、ゆるく擦る。自分でするのはいつぶりだろう。首に沿って指をまわして、鈴口を撫でると腰が揺れた。
「貸して。」
弟が俺の手を取る。口元に持っていって、舌で唾液を乗せるようにべろりと舐めた。その手を戻されまた自分のものを握らされる。与えられたぬめりを使って扱くと格段に気持ちいい。
「んっ、んっ、」
じっと見つめられて、水平だったものがだんだん硬くなって上を向いていく。手が乾きそうになると自分で舐めて唾液を足した。ぐちゅ、と音を立てて持ち上げるようにすると、てっぺんの口がぱくと開いて涎を零す。指で掬い取って、頭全体になすりつけて、また茎の根本から撫で上げる。小さく腰が動いた。
「こっちは?」
つんつん、と弟の指が後ろの孔を突っついた。
「ひあっ」
「こっちはしないの?」
「してほしいのかよ。」
「うん。見たい。」
こういう時だけ弟は素直だ。こう言えば俺があらがえないとよくわかっている。
空いていた手を自分で口に含んで濡らし、指を一本、沈めた。
「ふ、んん…。」
痛みがないように角度に気を付けながら入れる。陰茎がたちあがって袋も引っ張られているから、弟からそこがよく見える。視線が刺さる気がして緊張した内壁がぎゅっと締まる。自分のものを握るところを見られるのはそうでもないけれど、孔に指を入れるのを見られるのは恥ずかしい。
ぎこちなく、少し奥を触ってみたり、広げるように回してみたりする。だけどいつもの刺激には全然足りなかった。
「ここも触って。」
陰茎に手をかけたまま動かなくなってしまった方の手を孔の少し前に連れていかれる。丸く膨らんだ張りのある会陰を指で押されて呻いた。
「ううっ、ん、ん、う…」
体のど真ん中から生まれる気持ちよさが脊髄を這い上って脳に伝わる。入れていた指を思わず深く進めてしまって下腹がびくびくと跳ねた。
弾力のあるところを中心の線にそってなぞったり押したりすると、うねり始めた内部が切なく何度も収縮する。
「気持ちいい?」
「い、い…けどっ、たりねっ…」
ゆらゆらとわざと腰を揺らして誘ってみるけど効果があるかどうかは謎だ。ちらりと弟の下半身に目をやってみたけど角度が悪くて見えない。
「兄さんが指1本で足りるわけないでしょ。」
ぐり、と俺の指の横から強引に入口を広げながら弟が指を入れた。
「ああっ」
急な圧迫感に体が折れて倒れそうになり、会陰から離した手を肘掛けについた。弟の顔の前にあった局部が後ろを向く。俺の指も入ったまま、でもそんな浅いところはさっさと追い越して奥にぐうと入り込んだ指は、知り尽くしている性感帯の膨らみを遠慮なく押した。
「あ、う、ああ、ぁっ」
「ほら見えない。ちゃんと立って。」
「んんっ」
太ももを軽く叩かれて臀部が震える。自分の指なんかとは比べ物にならないよさで力が入りにくい。背筋で引っ張ってなんとかまっすぐに姿勢を戻す。
「1本だけ指貸してあげるから。」
がんばって、と言う弟はさっきよりも機嫌がよさそうだ。これならちゃんと最後までしてもらえるかもしれない。がぜんやる気が出て自分の指も奥へ侵入させた。弟の指を押しのけるようにしたら中が広がる。これからすることのために、ここを本来の用途でなく、ただの感じる穴にしてしまうんだと思うとぞくぞくする。
「うっ、ああ、ふぅ、ふ、んんん」
会陰を触るのはもうやめて自身を握る。前も後ろも一度に刺激するとおかしくなるけど、それを弟に見せるのだ。俺で興奮してがちがちに起き上がったもので中を埋めてほしい。
ごしごしと上下に擦りながら、ふうと息をついてゆるめた後孔の中で弟の指と自分の指をからめる。曲がった関節がごりと壁を抉って膝が震えた。
「入ってるところ、伸びてる。」
下からそこに向かって息を吹きかけられる。
「んんんっ」
必死で口を開げて指を飲み込んでいるところを想像してしまうとたまらなくなった。握った物を擦り上げる手が早くなり、出したい感覚が押し寄せて腰が前後に動く。尻の中でからめたままの指を入口まで抜いて、また入れながら関節のでこぼこで壁をぐりぐりすると限界がきた。
「俺にかけたらしないから。」
出る、と力が入ったところで言われて、慌ててTシャツの裾を被せて上から鈴口をひっかく。すんでのところで先っぽから飛び出したものは布地にしみ込んだ。
びゅ、びゅ、びゅと出る感触に合わせて直腸がうねる。お腹も背中もびくびくと跳ねあがって絶頂感に浸った。
ひとりだけ汗だくで荒い息をついていると、弟が足の方を指さした。体をまげてそっちを見ると、ほしいものがスラックスの間からパンツの布を力強く持ち上げていた。一度達して落ち着きかけていた全身が期待に震える。弟は、ちゃんと責任取ってね、と言いながらお尻を浮かせて身に着けているものに手をかけた。
やっとここからが始まりだ。指の抜かれた後孔が、はやく広げて押し入ってくれと、口をぱくぱくさせていた。
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