もーそーわんしーんまとめ④6/16-6/25 - 8/10

6/23―6/18前夜弟目線―
今世紀最悪、といっていいほど不機嫌な表情をしていたと思う。
玄関の扉を開けるとぐったりした兄と、2メートル近い酔っぱらいの両脇を支える後輩らしき2人。
肩を借りなければ歩けないほど兄が泥酔することは珍しい。時折顔を上げてへらへら笑うも、相当眠いようで頭ががくんと落ちている。脇の2人をじとりと睨むと気まずそうな顔をした。それでだいたいのことは察した。
兄に対して、少なからずやましい思いを持っている奴はだいたいわかる。
まったくもって人のことは言えないが、よくもまぁこの巨体をどうこうしたいなんて思うものだ。自分以外にもそんな人間がごろごろいると思うと頭が痛い。
「あのっ、宇髄先輩のっ…」
「弟です。兄がご迷惑をおかけしました。」
微塵も思っていないことを一応は口にする。
当の本人はだらしなく笑いながら、ありがとな、なんて薄赤くなった顔を向けている。部屋の中まで運びましょうかという申し出を雑に断って、半ば強引に手を引いた。
「そんな冷たくすんなよ~送ってくれたのに。」
はいはい、と適当にいなすと正面から思い切り抱きついてきた。重い。こっちが腹に隠しているものに気がつきもしないくせに、こういうことを平気でやるところに腹が立つ。
でも視覚的には効果抜群だったようで、後輩たちは逃げるように帰っていった。
自分より少し長い体の、足首から先を引きずるようにして家に入れ、鍵をかけた。

兄は昔から老若男女にモテる。顔立ちも美しく、明るく奔放で人懐こく、それはそれはありとあらゆる輩に狙われた。俺は物心ついたころから、この綺麗な生き物を誰にも渡すものかとなぜか強く決めていた。まだ兄の手足が細長かった頃は、常に目を離さないようひっついていたものだ。
成長期を経て屈強な体になってからも変な虫がおさまらなかったのは誤算だった。筋肉をまとって本人はすっかり油断してしまい、俺は気が気じゃない。特に兄が大学生になって家を出てしまった2年間は大変だった。
この春からようやく同じ学校に入り、めでたく同居にこぎつけた。

「うーん、風呂めんどくせ…。」
パズルのピースがはまるように俺の肩にぴったり乗っかった顎がもぞもぞと言う。おそらく意識はほとんどない。
そろそろ俺のものになってほしいと、日常の会話の中に織り交ぜて伝えているものはまったく本気にされていない。そのうえ、よく知りもしない奴に簡単に一服盛られて帰ってきて、べたべたに甘えてくるとは、人でなしとしか思えない。
いい加減、我慢するのをやめてもいいんじゃないか。
風呂に連れて行って、ゆるみきった肢体から服を抜いていく。腕も足も極太で重すぎる。ぱつぱつでハリのある尻、くびれた腰、なだらかな背中、筋張ったうなじ。やわらかい胸筋に、つつましやかな臍、薄い下生え。猛烈に興奮してしまって、兄を洗い場に裸で座らせたまま、一人で抜いた。
シャワーをかけると、つやつやの肌が湯をはじいて玉になるのが見えて思わず舌打ちしてしまう。おさまらない自分の怒張を時々体に擦りつけてやりながら洗ってやった。少しぐらい褒美をもらってもいいと思う。
タオルで包んで、新しいシャツを着せて、もう下は履かせるのが面倒になって、運ぶ時にまたしがみつかれたまま、一緒にベッドに倒れこんだ。
もうこの体勢で寝てしまおう。起きたらどんな顔をするだろう。別になにもしてないけど、下半身丸出しでひっついていることには驚くかもしれない。
少しくらい思い知ればいい。
苛々と悶々とがくすぶったままの頭をぐりぐりと胸にこすりつけるとぎゅっと腕で包まれて、明日から猛攻をかけてやると心に決めた。

2件のコメント

ジャクソン

一気読みしました!胸焼けなんてとんでもない、一気読みならではの多幸感半端ないです!やっぱ18→23の流れが好きだな…最後25が右オトートで完璧なフィニッシュでした!1番最初から通して御本で読めるの、楽しみにしています!

返信
うよ

わーー一気読みありがとうございます!!
私も18→23のやつ結構気に入ってます。ちょっと続き書きたい…!
まさかの右でのフィニッシュになるとは自分でも予想外でしたが、そう言っていただけると嬉しいです(*^^*)

返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です