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帰宅するとなかなかにいい眺めだった。
本当なら明日帰る予定だったのだが、一緒に遊んでいた奴が彼氏ともめたとかで急に帰ってしまい、他に誰もつかまらなかったので予定外に家に戻ったところだった。
ダイニングテーブルの足元、荒い息を吐きながら弟がぶっ倒れていた。朝出かけるとき椅子の背にひっかけたままにしていた俺のパーカーを引っ張って顔を隠している。いや、隠しているのではなく、俺の匂いを嗅いでいる。
反対の手はズボンの中だ。
頭の向きからして薬の入ったチェストにたどり着く前に力尽きたらしい。
むせかえるような甘い香りが部屋中に充満していて頬がゆるんでしまうのがわかる。
男性Ωである弟は普段、ものすごく警戒心が強く慎重で、自分の発情期の周期を細かに記録し、低用量の経口避妊薬と抑制剤を併用、気温湿度などを毎日確認し体調管理に一分の隙もない。自宅とはいえこんな姿は滅多に見られなかった。
今日は帰らないと伝えてあったから油断していたのかもしれない。
相当きついのか、俺が部屋に入ったことにも気づいていない。おそらく自分のものを握っているのであろう手がずっと動きっぱなしだ。
隣にしゃがみこんでパーカーをめくってやると信じられないものを見たようにぎょっとしていた。
「なんっ…!?」
「わり、急に予定が変わっちまって。それよりそれ、辛そうね。」
ズボンの上から弟の手に手を重ねてやるとびくびくと長く、激しく痙攣した。あらら、何回目かなこれ。
ふーふーと大きく肩を上下させているがそんなことでは何も解決しない。かわいそうに、抑制剤まであと数歩だったんだろう。さらに濃くなる空気にαである俺も刺激され、体が熱を持ち始める。
「そっちだけじゃダメだろ。」
臀部の丸みに手を這わせると睨まれた。
「さわんな…!」
「そーゆうわけにいかねーって。」
汗を吸って皮膚の一部のようになっている下着の上から、布を孔に押し込むように指を入れるとぐじゅと音がした。
「……っう、」
鉄壁の弟が溶けているのを音で聞かされて一気に自分もたちあがってしまう。どうせ拒む力は残っていないだろうからと遠慮なくパンツと一緒にズボンを下ろして尻をむき出しにし、腰を持ち上げた。後ろからのしかかって慣らしもせずそのまま蜜をこぼす熱い入口に陰茎でキスしてやる。
「あっ」
短く声を漏らした口を慌ててふさぐ弟の手を摑まえて後ろへねじった。
「はな、し…」
「すぐ楽にしてやるから。な?」
「さいて…んああっ、」
どろどろの中に自分のものを沈めると火傷しそうなほどだった。奥から奥から粘液がわいてきて、もっとこっちに来いと絶妙な締めつけで吸い上げられる。
「ぅ―-やば、やばいわこれ。」
一度止まろうと思っていたが動物みたいに細かく腰が動くのを抑えられない。悔しそうに奥歯を噛み締めるのが見えて、支配したいという欲が膨らむ。押さえつけてめちゃくちゃにしてしまえと頭の中で声が響く。
家の中でも弟が絶対に首からはずさない幅広のカラーの隙間から指を入れ、うなじをくすぐる。目を見開いて息を飲む様子にたまらなくなって、襟足に噛みついて舐めあげた。
「や、めっ、にいさ、と番になんか、ぜったいならな…っ」
口だけは達者だが内臓は正直で、種をよこせといっそう奥へつれていかれる。兄弟で番うなど確かにごめんだと思うが、じゃあ他の誰かと弟が、と想像すると腹の底に黒く重いものが生まれてしまう。
求められるままに何度も突き入れながら、少しでも正気を取り戻そうと頭を振った。
今はまだ、向き合うわけにいかない。俺が、お前が、いつか番を作るかもしれない未来を思考の隅に追いやって、忌々しい本能のままに、交尾に没頭した。
一気読みしました!胸焼けなんてとんでもない、一気読みならではの多幸感半端ないです!やっぱ18→23の流れが好きだな…最後25が右オトートで完璧なフィニッシュでした!1番最初から通して御本で読めるの、楽しみにしています!
わーー一気読みありがとうございます!!
私も18→23のやつ結構気に入ってます。ちょっと続き書きたい…!
まさかの右でのフィニッシュになるとは自分でも予想外でしたが、そう言っていただけると嬉しいです(*^^*)