もーそーわんしーんまとめ④6/16-6/25 - 1/10

6/16
暗闇の中、同じ赤と目が合う。夜も深いはずなのに、なぜかはっきりと姿が見える。自分と同じ形の鼻、同じ口、耳……鉢金の金属は何も反射していない。
耳に入るのは、自分の激しい呼吸音ばかり。相対する赤は静かだ。落ち着かなければ。いかなる場面においてもこんなに音をたててはならない。そう訓練されてきたはずだ。
ゆっくり腕を上げると、鏡のようにあちらも構えた。刀を握る手にべったりと貼りついている赤は、足元で肉の塊になってしまった兄弟の。

「兄さん。」
バチ、と電気が走ったようになって目が開いた。
暗い。
目の前に、弟の黒い瞳が2つ並んでいる。
「あれ…?」
「寝てたよ兄さん。」
目が闇になじんでいなくてよく見えないが、お互い何も身につけていない。じとりとにじむ汗、密着した肌。感覚が戻ってくると、尻の中に弟のものがまだ入っていることに気がついた。存在を主張するように少し奥を小突かれて、きゅうと孔が縮む。腰が甘く痺れた。
ここは自分のベッドで、今日は弟の帰りが遅かったからもうほとんど眠っていたところを起こされ、着ていたものを脱がされた。
眠気と気持ちよさとで少しの間意識を飛ばしていたのか。さっきのあれは前世の記憶だ。
「また夢に見たの?」
気遣うように聞く割には抜いてくれる気はないらしい。寝ている間に芯を失ってしまった俺のものを撫でながら弟が顎を食んで、舐めた。同じ記憶を持つこいつは、俺が見た映像を知っている。黒い目がこちらを見たまま、舌の動きにあわせて揺れる。
「なんでコンタクト付けたままなんだよ。」
弟の黒い目が嫌いだ。赤目は目立ってしまって色々な詮索を受けるから嫌なのだと、日中は黒いコンタクトを入れているらしい。顎から移動して頬を舐めていた顔を捕まえる。
「なぁ、はずせよそれ。」
弟はふ、と笑って身を起こした。中で角度が変わって下腹がぴくりと小さく跳ねる。
長い指が目玉をつまんで、邪魔な黒を取り去った。赤が戻ると安心する。なにひとつ忘れてはならないと俺を縛る色。お前も俺と同じはずだ。普通の人間みたいな顔をするのはやめてくれ。
ゆるゆると重い両腕を伸ばす。
「めちゃくちゃ気持ちよくして。」
弟がその腕を取って首にまわしてくれる。赤い目になった顔が近づいてきて、熱を乗せた声を耳に流し込まれた。
「いいけど、勝手にとばないでよ。」
腹で咥えていたものが一段と質量を増して、内臓を引きずり出すように、体の中へ中へと這ってくる。急に襲ってきた愉悦に涙が浮かんだから、目を閉じてしまわないように、弟の赤を見続けた。

2件のコメント

ジャクソン

一気読みしました!胸焼けなんてとんでもない、一気読みならではの多幸感半端ないです!やっぱ18→23の流れが好きだな…最後25が右オトートで完璧なフィニッシュでした!1番最初から通して御本で読めるの、楽しみにしています!

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うよ

わーー一気読みありがとうございます!!
私も18→23のやつ結構気に入ってます。ちょっと続き書きたい…!
まさかの右でのフィニッシュになるとは自分でも予想外でしたが、そう言っていただけると嬉しいです(*^^*)

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