もーそーわんしーんまとめ②5/26-6/5 - 1/12

5/26
最初に教わった時はさすがに少し怖かった。人間の身体のつくりがどうなっていて、どこをどう曲げたり刺したりすれば命を奪えるか、もしくは息の根がぎりぎり止まらないところで最大限の苦痛を与えられるか、そういうことは事細かに理解できていた。
『それ』の訓練は、自分の身体のそれまで使ってきた機能とは全く違う使い方を教えられ、内臓をこすられる感覚を初めて覚えさせられた。
それでも仕込みの者にされた時はよかった。何度かするうち慣れてもきた。
こんな、表面からじわじわと皮下の細胞に知らない感覚をしみ込まされていくような、自分の身体であるのに自分のものでなくなるようなことは、なかった。
「ぁ…あっ…。」
薬の類は使われていない。陰茎も触られていないし、直腸に指も入れられていない。いわゆる快楽に直接つながる部位を刺激されているわけではなかった。
「上達しないと使える手じゃないけど。」
ただひたすらに、しつこく、右大腿の付け根を弄ばれている。
「に…ぃさ…!」
声が掠れる。触られるたびに言葉が途切れた。
「どこかひとつ、局所的に刺激し続けることでも、的を落とすことはできる。」
やわやわと鼠径部のラインに沿って揉むようにたどっていた指が、内股に近いところで急にぐ、と皮膚に沈む。
「んんぅっ…!」
たったそれだけで尾てい骨のあたりから後頭部まで震えが走る。反対の手が下尻のなだらかなカーブを右へ左へなぞっている。
普段より低い、ゆったりとした声色で始終反応を確かめるように話しかけられながら、身体の隅々まで目線で舐められ、ずっとそこばかり。
「お前まだ訓練始めたばかりだし、魔羅に近いところを触ってるから、すぐこんなだけど。」
「う、ぁっ」
「手練れになると、もっと末梢の、たとえば…足先をいじるだけでも、落とせることもある。」
淡々と説明されているがあまり理解はできていない。足先を、兄さんに、こんな風に……大腿をたどっている指使いを、足先で想像してしまうと右足全体が甘くじんじんと、そこだけ感覚が浮いたようになった。
「上手く使えるようになると体の負担も少なくて仕事が楽だ。まぁそんなことばかりじゃ、ないけどな。」
両手で右大腿をぐるりと包んで膝の方まで撫でられる。
「ひ、ぁあ」
また付け根の方へ上るように動かされ、びくびくと2回、続けて背中が浮いた。高められ続けているのに、その先に上り詰めることも、そこから突き落とされる予感もなく、ずっとこの痺れの中に置き去りにされて頭が変になりそうだ。
いっそ直に気持ちよくなれる刺激を与えてほしい。そんなことは言えるはずもない。
「可愛いなお前。普段生意気なのに。」
赤い目を細めた兄さんが内股のやわいところを大きな口で咥える。
「ひっ…!」
白くてやわらかい前髪が下腹部に当たってもぞもぞするのさえ気持ちいい。
「今日は指導はここまでな。がんばったから、ご褒美やるよ。」
じっとりと濡れている褌を横にずらされて、ぱかりと開いた口の中に綺麗に並ぶ歯とか、厚みのある舌とか、その奥のピンク色の空洞が、ゆっくりと自分の陰茎を覆っていくのが見えて、あとはわけがわからなくなった。

2件のコメント

uyo3kyokusetsu

ありがとうございます!!全部読んでいただけて嬉しいです!!(うよ)

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