もーそーわんしーんまとめ①5/16-5/25 - 7/11

夕飯もシャワーもすませ、あとは歯磨きだけと油断してついスマホを触ってしまった。最低限、返さなくてはならないものだけをスイスイ探してタップする。
こういうのはやり始めると目と意識が集中してしまうからよくない。その間に大事なことが横をすり抜けてしまう。
案の定、すべて済ませたのであろう弟が、もう寝ますと背中に書いて自室に入って行った。
あわてて後を追う。
「待って!まだだめ!」
「なにが。」
眠気で不機嫌に歪んだ顔が向けられる。
弟は布団に入って横になると3秒で寝てしまう。
みるみるうちにあの険しい目がとろんとして、ものの1秒で閉じてしまい、あとは寝息が聞こえるのみ。
「まだ寝るな。」
「なんで。」
この眉間のしわにひるんではいけない。口ごもったらアウトだ。
「や、やりたい…!」
「眠い。」
「頼むよもう5日なんだよ寝てるお前に勝手に跨ってんの…」
「うわ最悪。」
弟は一度寝てしまうと意識不明の重体だ。朝のアラームが鳴るまで何があっても起きない。
「めちゃくちゃよくするから!」
「眠い。」
ベッドに完全に体を向けてしまった弟の裾をつかむ。
「30分でいいから!」
「長い。」
「20分!」
「20分?」
「う…15分!!」
弟の手が伸びてきて服の上からするりと胸筋を撫で、鎖骨の窪みをなぞった。それだけで体が熱くなる。
「歯磨きは?」
「秒でやる!」
今からすることを考えると歯は磨くが、その間に寝られてしまってはたまらないから弟を洗面所に引きずっていく。
がちゃがちゃと落ち着きなく歯磨き粉を歯ブラシにつけて口に入れるとつう、と肩甲骨の真ん中から腰のあたりまで、指で線を引かれた。
「ぅひゃ!?」
口の中の泡を飲み込みそうになって弟をにらむ。
「早く。」
今度は字を書くような動きでなぞられる。ね…?……る…?
歯ブラシでどこか刺してしまいそうになってあわてて引き抜いた。
「やめっ…!」
「早く。この時間も15分のうちだからね。」
「ええっ。」
大急ぎで残りの歯を磨いて口をゆすぐ。プラスチックのコップから水を含むと今度はうしろから腰を抱くように引っ付いてきた。
スウェットの中に手を入れられて、下着の上から中心部をなぞられる。
ぶしゅと水を吹き出してしまった。
「早く。」
言いながら手のひらで包むようにつかまれると力が抜ける。
洗面台の淵をぎゅっとつかんでまた水を含む。包んだ手に力を入れられて変な声が出て、水と一緒に涎がこぼれ出た。
5日間自分しか触っていないところを弟の手が這っていると思うと腰が砕けそうだった。
直に触って、と喉元まで出たとき。
「15分。」
急に全部取り上げて、弟はさっさと洗面所を出て行ってしまった。あまりの切り替えに一瞬唖然とする。
はっとしてまだ水の入ったコップを放り出した。
勢いよく弟の部屋を開けると布団の山がごそごそと平たくなっていくのが見える。
いち。
「え…」
に。
「ちょ…」
さん。
すー、すー、と規則正しい寝息が聞こえる。
中途半端に煽られたものが虚しすぎて、本気で泣いてしまった。今日も一人で、爆睡した弟に跨るしか、ない。

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