もーそーわんしーんまとめ①5/16-5/25 - 3/11

いかにも学生らしい騒がしさを背負って、わが家のような顔をして玄関を開けると宅配バイトが立っていた。
独特の真四角のバックパックを背負った、会社のロゴ入りユニホーム。
「あれ?今日バイトだったの?」
外から入ってきた空気が妙に涼しくて足元を見る。Tシャツは着ていたがそういえば下はトランクスだった。
「なに~?宇髄の知り合い?」
トイレに立ったのであろう、部屋で一緒に騒いでいた友人のひとりが酔っ払ったまま俺の肩に腕をまわして顔をのぞかせた。
なにがまずいのか上手く言えないが冷や汗が出る。
「あー…弟。」
「えっ、弟!?へぇー!俺おにーさんの友だちでーす。お世話んなってまーす。」
ぎゃははは、と笑いながら自己紹介する奴を尻目に、弟は静かな声で淡々と会計を済ませ、頼んだ食糧を渡してきた。
「じゃ」
「お、おー。バイトがんばって。」
「弟くんがんばってね~。」
当然なのだが粛々と仕事をこなす姿に安堵して、食糧を持って戻るべく友人と共に部屋の方へと体を向ける。
「あ、兄さん。」
ワントーン明るい声で呼ばれて顔だけ向けると、ぎゅっと尻の割れ目に思い切り布地が食い込んで体が浮きそうになった。
「っひぃあっ!?」
変な声が出てしまってあわてて口を塞ぐ。営業用の笑みを貼り付けた弟がトランクスのウエストをつかんで引き上げていた。
「風邪ひくよ。」
瞬間、ぱっと手を離されよろける。
恐る恐る目をやった先にはもう弟はいなくて、バタン!と大きな音を立てて閉まった扉に責められているような気分になった。

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