お題箱より。詳しく書いてくださってたので、お題の内容は後でツイートします。
冠婚葬祭のマナーやしきたりなんてものは、どうやって身に着けるんだろう。マナーの本を読む、ネットで調べる、あるいは親や親族に聞く、といったところか。書籍やネットで得られる知識は、地域差が大きくて使えないものも多い。そこそこのコミュニティで昔々から続く、根拠の乏しい暗黙の了解みたいなものが結構あって、結局親や恒例の親戚に頼ることになる。
俺たちの場合、そういった時にアテにできる血縁はいなかった。関係のよくなかった実家を早くに離れて以降、絶縁状態。親類もみな揃いも揃って頭のおかしいのばかりだったから、冠婚葬祭について気軽に聞けるような者はいなかった。だからなのか。新婚の兄の家に「お祝いに来た」とあがり込んだ弟がおかしな行動を取ったのは。マナーやしきたりについて、世間一般の常識すら身に着けられなかったからか。
「何考えてるの、兄さん」
集中しろと、胎内のものをいっそうねじ込まれる。奥を小突かれて口から涎と変な声が押し出される。
どこからどう見たって小柄とは言えない体の荷重が、ほとんど片頬にかかっている。揺らされるのに合わせて布地をごしごしと擦る皮膚はそろそろ剝けそうだった。力の入らなくなってきた手でソファの肘掛を握る。そうしていないと、どんどんずり上がって頭をぶつけてしまうから。
「あっ、ああ、ぅん…ぃあっ、あ、ぁんっ」
下半身から響く濡れた音。変に鼻にかかった自分の声が混ざって気味が悪い。ほどよいやわらかさのシリコンに擦られる腸壁はびりびりと性感を生み、もっと、もっととはしたなく蠢いて仕方なかった。
永く添うと決めた相手とパートナーシップの届け出をするために引っ越した新居。真っ白な壁、新しい木材の匂い、まだ生活感の乏しいキッチン。買ったばかりの三人がけのソファに染みを作っているのは俺だ。ブルーグレーの生地は濡れると汚い色になった。昨日パートナー、つまり夫になったオトコと並んで腰掛けたところ。
熨斗のかかったバスタオルと菓子を抱えてやってきた弟に、どうして玩具を突っ込まれているのか。「何考えてるの」は、こちらの台詞だ。
逃げそうになる思考を引きずり戻すように、中を往復していたディルドが抜かれる。
「あぁぁあっ」
内臓を引き出されるような感覚がはらの中をおかしくする。先っぽが穴のふちをずるんと引っ掛けるようになって、それで頭がイっていた。
ごと、という音につられて目線をやると、ローテーブルの上、俺たち夫婦の門出を祝う真新しいタオルの上に、ローションと腸液にまみれた性具が置かれたところだった。広げられたバスタオルの上には、さながら拷問道具のように、短いもの、細いものから順に、すでに使用して濡れてしまったものと、これから出番を待つご新規が左右に分けて並べられている。昔から弟はそういう奴だった。小学生のころ、宿題をするとき、決まって鉛筆を短い方から順に三本並べる癖があったっけ。何事も順序が大事だ。尻の穴を拡げるにしたって、もちろん、細くて小さいものから始めるのがいいに決まっている。
使用済みが傾いてきた陽に照らされてぬっと光る。とろりと体液をまとった淫猥な道具はもうほとんど左側に並んでいて、それだけの時間遊ばれているのだと突きつけてくる。新しい暮らしの中の一コマを汚してしまったようで、喉に罪悪感が詰まった。そろそろ夫の帰り時間を確認しなくては。
「兄さん、気に入ったのあった?せっかくのお祝いだから奮発したんだけど」
「へっ?」
「ああ、全部使ってみないとわからないよね」
これはお祝いだったのか。そうか、と納得しそうになった後ろ口に、さっきよりひとまわり大きな先端が当てられる。右側に残っていた最後のひとつ。湿った音を立てたそれはまだ冷ややかで、ぞわりと背筋が震えた。ぐにゃ、と広げられる粘膜はもうすっかり綻んでいて、慣れてきた体は圧迫感を上手く逃そうと長く息を吐く。
「ふ――――っ、……っん、ぁ――――っ」
ぐう、と入って来る質量に内臓が押し上げられる。胃が下から持ち上げられる感覚がダイレクトに心臓に響いて気持ちいい。そんなに大きいものに圧し入られたことはない。
「あぁア、き、にいる、わけねぇ……だ、ろっ」
「気持ちよさそうだけど」
そうだけど、そうじゃない。どれだけよくしてくれたって、それはどこまでも道具。ほしいのはもっと、熱のある。
奥をぐり、と押されると意味のある言葉は出なかった。吸った息が止まる。内壁に力が入って、みっちりと疑似の性器を締め上げてしまう。そんなに悦んでも、体温も拍動も返ってこないのに。
「どぅ……ぐ、はす、きじゃ、ねぇっ」
「そう」
どうでもよさそうな声とともに固い音がして、唐突にはらの中が振動した。がくんと頭が跳ねて、指先に力がこもる。
「ぁァああァ――――」
雷に臍を取られたらこんな感じかもしれない。突拍子もないことが浮かぶあたり、だいぶ馬鹿になっている。びりり、びりりと前立腺から体の真ん中に電気が伝ったようになって不自然に戦慄く肢体が止められない。頭の中が痺れて、太ももががくがく揺れる。どすんと重く下腹を占めた快楽は雌のそれだ。吐き出せなかったおとこの芯は情けなく涙を零した。普段の性生活でここまでなることはあまりない。ただ祝いに来ただけの弟に、簡単に堕とされてしまう。
「も、うや、めっ……んァっ、うっ」
「どれがよかった?やっぱり太い方が好き?」
「だからす、きじゃ、アっ、ねぇって」
絶頂したにも関わらず、だらりと緩んだ下半身はちっとも収まらない。それどころかさらに熱を上げて、もっとよこせと疼いている。足りない、命の通わないものでいくらされても。好きなものはこれじゃない。痒みにも似た欲求につられて目線が弟のボトムに吸い寄せられる。膨らんでもいないその合わせ目の中に隠されているもの。通う血が増えると固くなってこの内臓を灼いてくれるはずの、それ。
「じゃあ兄さんの好きなものを教えて」
お祝いにあげるから、と囁かれた言葉が甘く耳に流れ込む。毒のように喉奥に垂れてきた甘言に唾がわく。それをまるで見ていたかのようなタイミングで、床からメッセージアプリの電子音が届いた。スマホは落としていたらしい。横目にちらりとみたロック画面に並ぶ「少し遅くなる」の文字。誰からかなんて開かなくてもわかる。果たしてこれはいい知らせなのか、それとも。
「……っ」
これ幸いと流されてしまいそうになるのをわずか残った理性で唇を噛んだ。これから綴るあたたかい日常を自ら裂くような真似をするわけにはいかない。食いしばった奥歯がぎりぎりと音を立てる。
「ああ、旦那さんのこと気にしてるのか」
「あひっ……!?」
ちっぽけな自制をあっという間に砕いたのは己の乱れた下半身だった。ぬかるんだ孔の具合を確かめるように挿れられた弟の指。さきほどより随分控えめな太さなのに、それが生の人肌だというだけで全身が総毛立つ。ぐちゃぐちゃ音を立てながらわき目もふらず泣き所を押さえられて二度、三度と腰が踊る。散々道具に弄られて快感を引き出されてはいたけれど、こっちの方が余程よかった。
「兄さんは普通が好きだもんね」
普通じゃ考えられないことをしながら弟はそんなことを言う。そうだ、人並みに好き合って、寄り添って、肌を重ねて。絵に描いたような理想の生活をしたい、できるはずだった。それなのに。
「っい、あアぁ、ん、んんっ、ぁ――――」
はらが熱い。溜まったままの余韻がかき回されて、ばちばちとあちこちで爆ぜていく。もっと大きく弾けさせてほしい。イきたい。それには足りない。もっと圧倒的に潰されたい。
「ほら、ほしいもの言って」
「いっ、える、ぁわけ……ね、……んんっ、だろっ」
形ばかりの拒絶が舌の上をすべる。弟にはきっと見透かされている。とっくに頭を裏切った体は直腸を何度も縮ませて弟の指に媚びている。もっと擦って、暴いて、体の中をめいっぱい拡げてくれと卑猥な動きを繰り返す。勝ち目なんかないことは明らかだった。
視界の端にうつった反対の手が、ソファにできた粘っこい水たまりを広げてなすりつける。じわじわと布に沁みていく卑しい願望。「大丈夫だよ兄さん」と弟の声が同じように背中に落ちて、表皮を一枚ずつ侵していく。
「兄弟なんだから、普通でしょ」
「そっ、う、だっ、っっけ?」
「そうだよ、普通だよ」
許しをもらってしまえばもうダメだった。おんなの体みたいに奥がじゅわりと潤んだ気がして、阿呆みたいに開けた口から涎が零れた。
「お、まえのっ……ちんぽ、ほしっ……ぃぁあァあアんっ」
抜き去られた指を惜しむ間もなく、ずぶりと押し入ったのは今までで一番太いもの。灼けた肉の棒に何の躊躇もなくはらを広げられ、吐いた嬌声と一緒に白濁を噴いていた。ばたばたと座面を叩いたものが新たに染みを作っていく。
「けっこんおめでとう、兄さん」
祝いの言葉と共に与えられる圧倒的な快楽。ぎゅうぎゅうと内壁が弟の怒張を締め上げて、浮き上がった血管が感じられる。奥までがつんと突かれるたび腰も背中も小刻みに震えて、電気が走ったようになった神経は焼き切れたようだった。
「あっ、ああァっ、ぁうっ、ぁ゛あっ」
「なんだ、せっかく色々買ったのに、最初からこれがよかったんだ」
「んっ、いいっ、アっ、これがいいぃっ」
「それならそうと早く言ってほしかったんだけど」
無駄な出費だった、と並んだ玩具を見やりながら弟が腰を叩きつける。生身の熱で体の中を擦られて視界が弾ける。何を言われているのかはよくわからなかった。たっぷりと時間をかけて絆された後孔が悦んで、気持ちよくてたまらない。汚した新品の家具の上で、明日からも続く普通の生活。大丈夫、だってこれも普通だから。繰り返される律動で頭の中が塗りつぶされていく。弟からのせっかくのお祝いだ、ありがたく受け取ればいい。
「ごっめ゛んっ、はっ、あ゛っ、あァっりが、とっ」
「どういたしまして」
「っあ゛――――っ」
几帳面な弟だから、兄の望む祝いをちゃんと持ってきてくれたのだ。達してもなお収まらない肉壁を何度も擦られて、どろどろ溶ける下半身と思考。並べられた道具たちを照らしていた陽はとっくに沈んで夜に飲まれていた。
汗かいたから後で風呂借りるね。揺すぶられながらそう言われて、昨夜夫と共に疲労を流した浴室を思い浮かべた。どうしてだか、ますます熱があがった気がして、いまだ固く張り詰めた弟のものをはらの奥に誘い込むようにして抱きしめた。
マナーがどうとか、なんてことより、相手がよろこぶものを贈るのが普通のことだろう。どうせ暗黙の了解が大きい分野だ、知らないしきたりを気にしたって仕方がない。冠婚葬祭にきっと正解なんてない。
うよさーん、新作読んだよー!エッチだった!容赦ない弟に完堕ちする弟良かった〜✨ ソファの事を考えると胸が痛くなります、買ったばかりなのにぃ 宇奥さんのNTRは新婚早々モブ旦那にバレそうです〜! うよさんもイベント楽しんでねー!
ありがとうございますー!なにをどうやっても弟に堕ちてしまうお兄なのでどうしようもないですね♡♡
布のソファは……どうするんでしょうねwイベント楽しかったです!ありがとうございましたー<(_ _)>
弟宇イベント開催おめでとうございます✨
身を固めたはずなのにゆるゆるのお兄最高でございました
そりゃモノなんかで満足出来ませんよね!お兄はいつまでも弟君のものですね♡
イベントお疲れ様でしたー!
何がどうなろうとも弟の前ではどこもかしこもゆるゆるお兄です♡
満たしてくれるのは弟だけなので…!読んでいただきありがとうございました!
うよさーーん!!ヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪おはようございます!遊びにきました
いつも、もうそうわんしーんなどを読ませて頂いているのですが、うよさんの弟宇は、その場にまるでいるような臨場感みたいなのを感じます!!!✨
今回の新作も読ませていただきました
弟のお祝い…きっと、心の底ではドス黒い感情を持っていたのでしょうね体を重ね、逃げることはできないことを伝えたったのかもしれないと思ったり
身を固めたはずのお兄、この先どうなるんでしょう…////
素敵な作品、ありがとうございますまたTwitterでもよろしくお願いします
量産さん~♡いつも読んでいただきありがとうございますー!
祝うつもりがあったのかどうか謎なところですw
弟の前では最愛のパートナーもかすんでしまってちょろお兄になってしまいました♡
こちらこそよろしくお願いします、読んでいただき感謝ですー!
うよさん、新作ありがとうございます。
えっちいな兄弟オモチャで満足できる兄じゃありませんよねぇ…弟くんのじゃないと
イベント楽しんでくださいね
藤さん、読んでいただきありがとうございます!
お兄はやはり弟の弟でなくては…大きさが全然違うのでしょう…w
イベントお疲れ様でしたー!
はああ……めっちゃよかったです…!
いくら普通に憧れても普通であることそのものよりも、突き詰めれば普通だと言ってもらうこと、そう見做されることを求めているだけのお兄ちゃんがかわいくてかわいそうで大好きです。愛おしい。
そして構成も見事で。冒頭の冠婚葬祭のテーマにきれいに着地するラストも最高に気持ちよかったし、やっぱりお話全体を下支えする文章の上手さにも唸ります。技をキメてバンバン加点を稼ぐような表現がいっぱいでした。(具体的な箇所はまたもくりとかで語らせてください)
新作読めて嬉しかったです〜〜〜!ありがとうございました!
うわぁぁん、まりいさん、ありがとうございます!
全然普通になれないのにあがいて溺れて息もできないくらいになってしまうお兄が好きでいつもこんな感じになっちゃいます。
久しぶりに書いたら全然キレがなくて語彙も吹っ飛んでしまってたので、そう言っていただけるとめちゃくちゃ嬉しいです泣いてます( ;∀;)
元気もらいました、明日からも生きます泣
こちらこそ読んでいただきありがとうございました!
うよずあん〜〜〜
おおん、うよさんのどエッチ弟宇がまた見られてる幸せすぎる…!
あぁ〜うよさんの文章に殴られてきもちいい…背徳感の上にさらに背徳感重ねて来る弟め!
最高でした(号泣)
わーんありがとうございますー!背徳感最高のスパイスですよね!
鈍器ぐらいの文章書けるようになりたいですー!イベントお疲れ様でしたー!
うよさん、こんにちは。
玩具も綺麗に整頓して並べる弟の可愛いのと恐ろしいのとが合わさったような潔癖な性格が良かったです。うよさんの弟は自分ルールに忠実な変人さが物語の良さを加速させていて面白いです。
あと普通に(?)兄さんが幸せなのなんかムカつくの共感します……!
素敵なお話を有難うございました
めんたいこさん、こんばんはー。
つい弟を几帳面にしてしまいがちです。ちょっとおかしなくらいきっちりした人間の変態性が癖なんです…!
お兄の幸せごっこは弟にきもちよく壊してもらいましょう…w
こちらこそ読んでいただきありがとうございました!
うよさーー!!新作読めて嬉しいですっっ
そしてキレッキレの構成が素晴らしいぃ
弟の容赦なさをわかっていながらも受けてしまう逃げられないお兄ちゃん…兄弟なんだからという免罪の言葉が1番の背徳で…
もう一度越えてしまったら何度も同じかなって拒むことはできないですねぇ…
はぁーんvありがとうございましたぁ!!
わーーーんありがとうございます!
読み返してキレがないよー(T_T)ってなってたので嬉しいですー!
兄弟だから~のところ楽しくてノって書いてしまいましたw
いつまで続くかな結婚生活…w
読んでいただき感謝感謝ですー!
うよさんイベお疲れ様でーす!いやぁこういう事しちゃう弟♡結局おにぃが悦ぶ事知ってますねさすが(⸝⸝› з ‹⸝⸝)♡見つからずに済んで良かったのかこれから先の生活を思うと痺れますけども普通だよって言われてそっかぁってなるほど欲しくてトロトロだったんだなぁえっちな弟宇ありがとうございます
おたまさん、ありがとうございますー!
弟の前では世間体も常識もあっけなく崩れ去るのがお兄かわいそうです♡
最後のほしがるところ書いててすごい楽しかったですw
こちらこそ読んでいただきありがとうございましたー!
うよさん間に合いました⁉️
読まさせていただきました
もう、もう、そう、兄弟は結婚できないんだっけ…
でも、深い深い絆で繋がっているんですねたまらない〜
ありがとうございました
オリーブさん、間に合ってます!ありがとうございます!
結婚した他人より切ってもきれない血縁のつながり…いいですよねぇ
読んでいただきありがとうございましたー♡